嘘が多く、虚言癖の傾向が見られる

自己愛性パーソナリティ障害の特徴や診断基準には、「嘘」や「虚言癖」への関連性が特には述べられていませんが、私が接した自己愛性パーソナリティ障害の方々には、共通して、「嘘が多い、虚言癖の傾向がある」という事実がありました。

一方で、虚言癖の場合、以下3つのパーソナリティ障害の可能性があるとの著書もありました。

●自己愛性パーソナリティ障害
●演技性パーソナリティ障害
●境界性パーソナリティ障害

これらを総合しますと、自己愛性パーソナリティ障害の特徴として、嘘や虚言癖の傾向があるというのは、かなり確度が高いというのが私の見解です。

以下、いくつか私の経験談をお話します。

数10年振りに再会し、親密になった同級生女性(のちに彼女は自己愛性パーソナリティ障害であることが判明)とのエピソードです。

数10年振りにSNSを通じて彼女と再会し、夕飯を共にした時のこと、彼女がふと、「私、中学の時、3年間ずっと成績が2位か3位だったんだ。」という話をし始めました。

「私は1位の〇〇君の次に頭が良かったんだ。」
「女子で1番と言われてた〇〇ちゃんよりも頭が良かったんだよ。」
「先生からも学区内で一番の〇〇高校に行きなさい!と言われたんだ。でも、〇〇高校はつまらなそうだから、行かなかったの。」

・・・などなど、いかに彼女が当時、実は頭が良かったか!という話を、自らこんこんとし始めたのでした。

しかし私は瞬時に、「彼女がとても大きな嘘をついている」ということが分かったのです。何故か?と言いますと・・・「中学の時、ずっと3年間、私は3位だった」のです。
しかも私は、1位の子とも、2位の子とも、4位の子とも仲が良く、お互いに成績を見せ合ったり、確認し合う仲でしたので、誰が1位~4位で、具体的な点数までをも把握していたのです。
そんな3年間で、彼女が2位、ましてや私と同順位の3位である可能性は、ほぼ皆無だったのです。

彼女と数10年ぶりに再会したその日に、彼女の大きな嘘を私は黙って聞くことになったのですが、同級生ということもあり、また、可愛いらしい一面もあったので、その時は、「彼女、ちょっと自分に見栄を張りたかったのかな・・・」ということで、私の心の中で片づけました。
しかしながら、彼女はこの成績の話を、その後も幾度も、事あるごとに定期的に私に話したのです。

この一件だけ考えても、彼女には、通常の嘘とは違う、明らかに「虚言癖」の傾向があることが分かりました。
まさか彼女は、私がずっと3位であったことなど、疑いの余地も無かったと思いますが、嘘をつくには明らかに脇が甘すぎると感じました。

もう1つ、エピソードを・・・

私はその彼女とその後、親密になり、定期的に会ったり出掛けたりする仲に一時なったのですが、そんな中で、彼女とたまに言い合いになるような事が度々ありました。(すべて、彼女の落ち度からくる出来事だったのですが・・・)

そんな折、彼女は、いろいろ言ってくる私(私は普通の会話をしているだけなのですが)に対し、「いろいろ重い。〇〇(彼女の親友)も重いって言ってる。」と、彼女の親友の名前を出し、その親友もそう言っているという話をするのでした。

私としては、会ったこともない彼女の親友が、私のことを悪く言っていることに対し、少し憤りも感じましたが、まあ、仲良い女子同士の話だし・・・ということで、その場は聞き入れて流しました。

しかし後日、しばらくして彼女はその時の話を言い出し、「本当は〇〇(彼女の親友)、何も言ってない。この話すらしていない。」と言ってきたのです。

つまり、彼女自身が「あの時の話は嘘だった」ということを暗に認めた形になったのですが、この時私にとっては、大して大きな嘘とも感じなかったので、この話も敢えて流しました。

しかしその後、彼女は事ある度に「〇〇(彼女の親友)もそう言っている」というフレーズを言い出すのでした。そしてそれは、明らかに嘘であることが明白なのです。このフレーズ、二度目ですから・・・

この時もやはり、私は、彼女の嘘に対する、脇の甘さを感じたのですが、いずれのケースでも、「どうしていとも簡単に、嘘をつくのだろう?」「バレやすい嘘を、どうしてつくのだろう?」「自分が嘘をついていることを、忘れているのではないか?」ということに甚だ疑問を感じていました。

しかし、いろいろと彼女の虚言の経験を蓄積していくにつれて、最終的には、「自分が嘘をついているという自覚自体が、非常に薄いか、ないのではないか?」という結論に至りました。

以上はごく一部のエピソードでしたが、彼女の嘘は大小に関わらず、非常に多くありました。
そして、その嘘が特に問題にならないケースも多かったのですが、時に彼女の嘘は、人(私)を大きく傷つけるものもありました。

自己愛性パーソナリティ障害だからといって、嘘や虚言癖が必ず伴うということはないのですが、少なからず私の知りうる自己愛性パーソナリティ障害の方は、「確実に虚言癖があり、嘘が常習化」していました。

日常的に嘘をついてしまうが故に、人から不審感を持たれてしまい、次第に信用も失い、そして人が離れていく・・・といった負のスパイラルが生じ、そんな自分が嫌だという、自己嫌悪感にも繋がっているようでした。

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